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SPECIAL ONE #43












「こんにちは!」

椅子に腰掛けてノートに何か書き付けていた森田さんは
僕が声をかけると、
「はい?」
と、日に焼けた彫りの深い顔を上げた。

「あ、君達は昨日の……」

「はい、シム チャンミンです」
「チッタポン……ポンクルです!」


僕とポンクルはその翌日、武道館の2階のジムを訪れた。

「君達は留学生か。韓国と、?」
「僕はタイ人です」
ポンクルはニコッと微笑んで答えた。
「二人とも1年生だよね?日本語うまいなぁ」
森田さんは感心した顔で言った。

森田さんは30代半ばか後半くらいの、スポーツ科の助手の方で、ここのジムの責任者だ。
身長は175センチほど、しかし分厚い胸や太い二の腕がTシャツからはみ出しそうなくらい逞しい肉体の持ち主だ。
昨日バスケのサークルに行く前に覗いたこのジムで、トレーニングのメニューを作ってもらえると聞いて、
僕とポンクルはさっそくやって来たのだった。


「何かスポーツは?」

「僕はずっとダンスをやってます。身体を引き締めて、脚力とスタミナをつけたいんです」

ポンクルが答えると、森田さんはポンクルの全身を上から下まで眺めて、
「君はとてもバランスのいい体形だね。姿勢もいいし、適度な筋肉もあるし、理想的だな」
そう言って、うんうんと頷いている。
「現在の身体を維持しながら、スタミナをつけるのがいいね。考えてみよう」
「ありがとうございます!よろしくお願いします」

ポンクルは身体を褒められて嬉しそうだ。
本当にポンクルの美意識は高い。
顔立ちや体形の美しさだけでない、歩く姿やちょっとした仕草まで、とても優雅で美しい。そのくせ性格はおおらかで意外と男っぽいから、そのギャップがポンクルの魅力だと思う。
森田さんも、ポンクルに嬉しそうに笑いかけられて、まんざらでもない顔つきで頭を掻いている。

「えーと、君は、シム君だったな……」

「あ、はい。僕はずっと何もしてなくて…… かなりの運動不足なんです。今度バスケのサークルに入ることになったので、スタミナをつけたくて。
できれば身体も鍛えて、筋肉をつけたいです」

僕が答えると、森田さんは僕の正面に立ち、上から順にじーっと全身を見下ろしてゆく。
すごく恥ずかしい。
それから後ろに回り、僕の両肩に森田さんの手が乗った。
軽く揉むように触り、次第に二の腕から手首へ下りてゆく。
それから、背中。両の肩甲骨辺りと、背骨。

恥ずかしくて擽ったい。
身体を触られるなんて、病院の先生以外で初めてかも……

「シム君は、身長のわりに痩せすぎだな。だけど体形が綺麗だし手足も長いから、鍛えれば素晴らしい身体になるよ。少しずつ体力をつけながら、筋トレをやってみよう。バスケも頑張って。脚力をつけるのにはすごくいいからね」
「はい。頑張ります。よろしくお願いします」

僕は多分真っ赤になった顔を勢いよく下げた。

それから僕とポンクルは、簡単な体力測定をした。
ランニングマシンで10分間走ったり、腹筋に腕立て伏せ、背筋などひと通り測定して、僕はもうそれだけでくたくたになっていた。
結果は惨憺たるもので、これはマジで頑張らないとまずいと思った。


「じゃあメニュー考えとくから、月曜日以降においで」

そう言う森田さんにお礼を言って、僕達はジムをあとにした。
 
階段を降りてゆくと、ちょうど更衣室から出てきたユノ先輩とドンヘ先輩の姿。

「先輩!」
僕達は思わず駆け寄った。

「あれ、何してんの?」
ドンヘ先輩が振り向いてビックリしてる。
「あ、僕達、身体鍛えようと思って、トレーニングメニューを作って貰いに来たんです」
僕が答えると、二人ともちょっと驚いたような顔をした。

「へぇ……メニューって森田さん?」
「はい、来週までに作ってくれるって」
ポンクルが答えた。

「身体、触られなかった?」
ドンヘ先輩がニヤリと笑った。

「え、ああ……僕は別に。チャンミンが……」
そう言って僕の方を見る。
「あの、肩と腕と、背中……」
僕は答えながら思い出して、また恥ずかしさがぶり返して来た。

「森田さん、すごくいい人なんだけど、筋肉フェチだからね。やたら触りたがるんだ」
ドンヘ先輩が笑いながら言えば、ユノ先輩も後ろでクスクスと小さく笑っている。
「ユノなんて、会うたびに身体中撫でまわされてるよ」
「またドンヘは変な言い方する」
ユノ先輩は少し口を尖らせた
「でも、俺達も世話になってるけど、森田さんは信頼できる人だから安心して任せればいいよ。二人ともトレーニング頑張って」
僕とポンクルには優しい顔で言ってくれた。
「はい!頑張ります」
思わず大きな声で返事をして、また恥ずかしくなった。

「あ、僕達、バスケのサークルにも入ったんですよ」
ポンクルが言うと、
「バスケなら、ブリッツ?」
ユノ先輩が聞き返す。
「そうです!知ってますか?」
「うん、3年生の二人は友達だから」

『BLITZ』というのはバスケサークルの名前で、小さなサークルなのに先輩達が知っているのに驚いた。

「友達に誘われて、昨日練習に行ってみたんです。すごく楽しくて、みんないい人ばかりで」
「そうか、よかったな」
「ユノ先輩、チャンミンってバスケ上手いんですよ。
フリースローが特に、とってもきれいなんです」

「えっ…」

ポンクルが突然僕のことを言い出して慌てた。

「なんか意外だな。チャンミンやってたのか?」

ユノ先輩の視線が僕に移る。
僕をじっと見てる。

「あ、の……、中学生の頃少しだけ……
でも、本当にかじった程度で……ポンクルは誇張して言ってるんです」
「そうか? ふーん……バスケも楽しそうだな。
よし、今度皆でやろう、寮の横の広場で。
でも俺球技は苦手なんだよね。チャンミン俺にシュート教えて」

「え、」

「約束な。じゃあ、二人とも頑張れよ」

ユノ先輩は明るく笑って、片手を軽く振って武道館へ入っていった。

「お…と、じゃあな」
慌てて後を追うドンヘ先輩に、
「あ、ドンヘ先輩!」
ポンクルが声をあげて、呼び止めた。

「ん?」
「チャンミンが話があるそうです」
「へ、えぇ?」
思わずポンクルの顔をガン見した。

「ほら、話訊くんだろ?」
小さく呟くと僕の背中をぐいと拳で押した。

そう、
訊きたいこと……


「……あの、ドンヘ先輩にお尋ねしたいことがあって……先輩の都合のいい時に、少しだけお話できませんか?」

僕は勇気を振りしぼって言った。

ドンヘ先輩はじっと僕を見て、それからニヤッと口元を緩めて笑った。

「ユノのこと、?」

「……はい」

「いいよ。明日休みだし、練習終わってからでよければ今夜、少し遅くなるけど」
「かまいません」
「飯食って、風呂入って……10時前くらいだな。俺の部屋でいい?」
「いいんですか?どこか、外でも……」
「かまわないよ。ポンクルと二人で来る?」

背中をまたぐいと押された。

「いえ、僕ひとりで……」
「わかった。LINEするよ」

僕の肩をポンと叩いて、ドンヘ先輩は武道館の中へ走って行った。



その後ろ姿を見送って、僕は肩を揺らして大きく息をした。


「よかったじゃない?」

ポンクルがフフンと微笑む。

「まったく、急に…… ポンクルのせいで心臓が止まりそうだった」

はあ、と自然と溜め息が出た。

「ユノ先輩には僕も興味あるんだよ。謎多き人だからね。
今夜楽しみだね。後でゆっくり聞かせてよ」


そう言うとポンクルは僕の腕にぶら下がるように抱きついて、僕を見上げてニコッと微笑んだ。















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Black Pearl

Author:Black Pearl
はじめまして。BlackPearlと申します。東方神起のふたりが大好きで、大好きで、久しぶりに書き始めました。心ときめく日々を与えてくれるふたりに感謝💕この想いを共有してくださる方、よろしくお願いいたします。