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哀歌(エレジー) #4












ユノの柔らかい唇が僕の口を塞いで、

僕はユノの背中に腕を回して、ぎゅうとしがみついた。

もう、我慢などできなかった。

食い込むように唇を重ねて、ユノの熱い舌を迎え入れて吸い付いた。
ユノの長い指が僕の髪を揉んで、もう片方の手は背骨に沿って撫で擦る。

スーツの襟元から立ち上るユノの匂いがいっそう濃厚になって、僕の意識を惑わせる。

僕の好きな匂い。
懐かしく甘い記憶を呼び起こす匂いは、僕達の間の10年の時を瞬く間に埋めてゆく。

ゆっくりと唇が離れ、
僕はユノの肩に顎を乗せて、首筋に鼻を押し付けた。

「チャンミン……、ずっと、こうしたかった…… 」

「僕も…… 」

「俺は、悪い男だ……。それでもいいのか?」

「……僕もユノと一緒に、悪い男になるよ……」


僕の気持ちはもうとうに決まっていた。
ユノにもう一度巡りあった運命に、もう抗うことはしない。
きっと何度離れようが、僕はユノしか愛せないのだと解ったのだから。


ユノはもう一度僕を強く抱き締めて、それからそっと身体を離した。

「まだ、仕事が残ってるんだ。全部済ませて、一度会社に戻ってくる」
「うん……」
「それから、もう一度、来てもいいか?」
「うん。待ってる……」

それから僕達はお互いの連絡先をスマホに登録しあった。
頭を突き合わせてスマホを覗いていると、高校生の頃に戻ったようで、少し照れ臭くなって微笑みあった。

「たぶん、7時くらいになると思う」
「真っ直ぐ来て。夕食用意しとくから」
「ああ。ありがとう……」

もう一度くちづけをして、
名残惜しそうにユノは帰っていった。




暫くは放心状態で、
両手を重ね合わせ見つめていた。


一度離した手を、また握りしめてしまった。

もう、後戻りはできないと、自分に言い聞かせた。
これから先、後ろめたさや背徳感にどれほど苛まれようと、決して言い訳はしない。
すべてを承知のうえで、僕は自ら彼の腕の中に飛び込んだのだから。

どんなに辛く苦しくても、
ユノと一緒にいられるのなら、どんなことでも耐えられる。
その痛みさえ、今の僕には甘美な誘惑に感じられた。



僕はゆっくりと立ち上がり、キッチンへ向かった。

冷蔵庫を開けて、食材を確認する。
昨日買い出しに行ったばかりだから、冷蔵庫の中はいっぱいだった。

確かに2年も奥様がいなければ、家庭の味に飢えているだろうけど、
これ見よがしに家庭料理を作るのは、自分の卑しさが露見するようで嫌だった。
悩んだあげく先日覚えたばかりのパエリアを作ることにした。

時間はまだたっぷりあった。
冷凍庫から魚介類を出して、下ごしらえを済ませ、
リビングとベッドルームの掃除をした。
ベッドシーツや枕カバーも交換し、引き出しの中を確認する。

「何やってんだか……」

考えてみれば、この部屋に相手を入れるのは初めてだった。

6時過ぎには料理もすべて仕上がり、
僕はシャワーを浴びた。
いつもよりも念入りに全身を洗い、自分で後ろを解して中も丁寧に洗った。
今夜、これから起こるであろう事を考えただけで、僕の身体は熱く火照って、緩く勃ちあがるぺニスに苦笑した。

オフホワイトのコットンシャツとチノパンを着て、ソファに腰かけた。

落ち着かなくてテレビをつけても、画面をぼんやり見るだけで何も頭に入ってこない。

次第に緊張感が増してきて、胸の奥がザワザワして、
じっと座っているのも辛い。
今になって怖じ気づく自分が情けなかった。


7時より少し早く、車の停まる音がして、すぐにインターホンが鳴った。

玄関まで駆けていってドアを開ければ、

コンビニのビニール袋をぶら下げ、
赤いバラの花束を胸に抱えたユノが
照れ臭そうな顔で立っていた。

頭の奥でパーンと何かが弾ける音が聞こえて、
次の瞬間にはユノに飛びついていた。

「わ、花が潰れるって……」 
慌てて僕を抱き止めたユノに、

「ユノがキザな事するから……」

僕は抱きしめられたまま、
バラの花に顔を寄せて、甘く青い香りを胸いっぱい吸い込んだ。




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Black Pearl

Author:Black Pearl
はじめまして。BlackPearlと申します。東方神起のふたりが大好きで、大好きで、久しぶりに書き始めました。心ときめく日々を与えてくれるふたりに感謝💕この想いを共有してくださる方、よろしくお願いいたします。