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Life is…… 1 year after #7











日が西に傾き、空が朱色に染まり始める頃、シウォン達は海からあがってきた。

ドンヘさんも一緒だ。
すっかり仲良くなったみたいで、着替えを済ませて3人でカフェのテーブルに座った。

コーヒーとシフォンケーキを運ぶと、
「チャンミン、ヒョヨンさんもシウォンさんも、スゲー巧いな。チャンミンから話には聞いてたけど、想像以上だった。ヒョヨンさんなんて、マジでプロになれるよ」
真剣な顔でドンヘさんが言うと、
「またぁ、ドンヘさんって口がうまいんだから」
なんて、ヒョヨンもまんざらではない顔で笑う。

「今度来るときは、絶対ユノさんも一緒にやりましょうよ。凄く巧いってドンヘさんから聞いたの」

「うん。きっとヒョヨンもビックリするよ」
僕が言えば、

「ふ……ん、チャンミンはユノさんのサーフィン姿に惚れたのかしら?」
なんて、ニヤリと笑った。

ユノさんは、と見ると、
少し顔を赤くして照れ臭そうに笑っていた。


それからシウォン達が話してる間に、ユノさんはウッドデッキにバーベキューの準備を始め、僕はお客さんが途切れたタイミングで店を閉めた。

ミノがインスさんを家まで迎えに行ってくれて、
シウォンとヒョヨンは6年ぶりの再会に、インスさんと抱き合って喜んでいた。

「ドンヘさん。帰りは僕が家まで送りますから、お酒飲んで大丈夫ですよ」
ミノはドンヘさんを掴まえて話しかけていた。

「え、いいよ、それだとミノが飲めないだろ」
「構いません、インスさんも送って帰るつもりですから。僕はお酒飲めなくても皆さんと一緒に参加できるだけで嬉しいです」
ミノは爽やかな笑顔で言った。
「んじゃあ、お言葉に甘えて送って貰おうかな。
その代わり今度、飯でも奢るよ」
ドンヘさんの言葉に、
「ほんとですか? やった、楽しみにしてます!」

ミノは嬉しそうに笑って、ユノさんの手伝いをしに小躍りするようにウッドデッキへ駆けていった。

あれ、

あれ……?

もしかして………


「チャンミン、こっち手伝って」

ユノさんに呼ばれて、僕も慌てて走っていった。




その夜は、とても賑やかで楽しい夜だった。

シウォンとヒョヨンと僕、
こうしてまた3人で笑いあえる日が来るなんて、
僕は思ってもいなかった。

そして、その場にユノさんがいて、
一緒に語り合い酒を酌み交わす。
何だか懐かしい光景を見るような、不思議な気持ちだった。

ドンヘさんが皆を笑わせて、ミノはニコニコしながら焼けた肉を皿に取り分けて、
インスさんとヒョヨンは顔を寄せて話しながら、時折クスクスと笑いあっている。きっとお互いの旦那様の自慢と愚痴を披露しあっているんだろう。


潮騒と風鳴り、パチパチと炭の弾ける音、

皆の楽しそうな話し声と笑顔が溢れて、
とても穏やかで幸せな夜だった。

一通り肉が腹に収まると、男達はビール片手に集まって、そこでの話題はやはりサーフィンだった。
共通の言葉があればすぐに距離は近づいて、まるでみな昔馴染みのようだ。
これからのここのベストシーズンの波をドンヘさんが語り、シウォンは僕達が通っていた竹島ビーチや、去年行ったというオーストラリアの話で盛り上がっている。

「いいなあ。僕もサーフィンやっとけば良かった」

ポツリとミノが呟いた。
ミノは済州島で生まれ育って、こんなに海の近くに住みながらサーフィンはやってない。
聞けば小学生から高校までサッカー一筋で、サーフィンは友達に誘われて2、3回遊びでやったくらいだと言う。
「興味あるなら今からでも始めたら?
若いんだし、運動神経いいからすぐに上達するよ」
僕が言うと、
「そうですね。でも……」
ミノは少し考える風だった。

「ねえ、ミノがサーフィン始めたいんだって」

僕は大きな声でその場の全員に向かって言った。

「ちょ……チャンミンさん!」
ミノはビックリしていたけど、

「あ、それなら俺が教えてやるぞ」

ドンヘさんが言うと、
ミノは大きな眼を更に見開いてドンヘさんを見つめた。

「俺よりユノが上手いけど、ユノの休みを捕ったらチャンミンに叱られるだろうし、俺は時間だけはあるからな」
「ほ、ほんとですか……?」
「ああ、ショートボードなら何本かあるし、貸してやるよ。どうする、やってみる?」
「は、はい、やります!教えてください!」
ミノは興奮した顔で即答した。

それから、
ドンヘさんとミノは顔を付き合わせて、次の休みの予定や、必要な物の話などしている。
ミノは少し顔を赤らめて、とても嬉しそうに笑っていた。
ドンヘさんは優しくて、人のことにはすぐに気が回るけど、自分のことには意外と無頓着な人で、
心の中でミノに向かって『頑張れ!』とエールを贈った。

僕は缶ビールを片手にその場を離れた。ウッドデッキから降りると、少し海岸に向かって歩いた。
頬を撫でてゆく海風が心地よい。

「チャンミン、どうした?」

背中から声がして、振り向けばシウォンが立っていた。

「うん、少し飲み過ぎたかな。風にあたりたくて」

「そうか、俺もだ。よかったら少し歩かないか」

僕は頷き、並んで砂浜をゆっくり歩いた。

踏みしめるたびサクサクと砂が鳴り、柔らかな感触が気持ちいい。

「月が綺麗だな。ここは夜の海も格別だな」
シウォンが言って、夜空を見上げた。

南東の空に大きな白い月が輝いてる。

「あの月は、多分十三夜だね。満月に少し足りないけど綺麗な月だ」

海を照らす蒼白い光が波頭を煌めかせて、急に潮騒の音が大きくなった気がした。

「なあ、チャンミン。どうしてここに…… ユノさんの所に来ることになったんだ?」

不意にシウォンが言った。

「……チャンミンは、昔から、男でもよかったのか?」

突然の問いかけに驚いたけど、
でも、当然の疑問だろう。
昔からシウォンと僕の間に遠慮はない。

「ごめん、不躾なこと訊いて……」
「いや、いいんだ。そう思うの当たり前だから」
僕は笑った。

「何でかな…… ユノさんだったから、だと思うけど。
ここの月を見て、これからもずっと、二人で一緒に見ていたいって思ったんだよ。
ここの月ってさ、あまりに美しすぎて……独りで見ると淋しくなるんだよ」

「うん…… わかる気がするな」

シウォンは小さく頷いた。

「ユノさんはもともとゲイで、僕は、多分……ノーマルだけど、後悔はないんだ。僕は自分の変化を楽しんでるよ」
「そうか……、それならいい」
シウォンは小さく笑った。


「なあ、俺達が最初に話した日のこと、覚えてるか?」

シウォンが言った。

「もちろん覚えてるよ。移動教室の廊下で、シウォンに呼び止められたんだ」

僕とヒョヨンに向かって、初対面の先輩は、
「君たちは付き合ってるのか?」
と、尋ねたんだ。
それから学食で昼食を奢ってもらって、僕とヒョヨンはサーフィンをしないかと誘われたのだった。

「あの時な、チャンミン達は初対面だったろうけど、
俺は随分前から二人のこと知ってたんだ。一年生に目立つ奴がいるって噂になってて」
「へえ、知らなかった」
「それで、チャンミンのことは、何度も見ていて……
お前に近づきたくて声をかけたんだ」
「え?」
「……もう、時効だから話す。チャンミンが好きだったんだ」
「え……、ええっ?」


驚いた。
全く知らなかった。

だから、『君たちは付き合ってるのか?』だったのか。

「……びっくりした」

僕がポカンとしていると、シウォンは可笑しそうにクスクスと笑った。

「お前、鈍感だし、普通に女の子にしか興味ないようだったし、そのうちにこれは無理かなぁって思いだして、
それよりも3人で過ごすのが楽しくて居心地よくなったから、俺達にはこの関係が一番なんだって思えるようになったんだ」
「そ、そうだったのか…… ごめん、鈍感で……」
僕は思わず謝った。けど、

「シウォンって、ガールフレンドいっぱいいたよね?
いつだって周りに人がいて、じゃああれってなんだったんだ?」
「あー、俺はどっちでもいいんだよ。男ともたまに付き合ってた。チャンミン達が知らないだけで……」
「へ、そう…… 」
「ヒョヨンには言うなよ。知らないんだから」
「あ、わかった」

僕はふと思い出して、手に持っていたビールをぐいと喉に流し込んだ。

なんだかいろいろと、目が回りそうだ。

「だからさ、お前がユノさんと付き合ってるって聞いて……少し複雑な気分だったよ。
もしあの時、諦めずにもう少し押してたら、もしかしたら俺達うまくいってたかも…って……」

僕も、
シウォンのことを意識したとき……
ヒョヨンに遠慮なんかしないで真っ直ぐ向かっていってたら……
ふと、そんな考えが頭の中を過る。


なんだか不思議だけれど、
これが僕達なんだとも思える。

いつもタイミングが悪くて、ボタンをかけ違えて、
でも、結局3人はこれで上手くいってるんだ。



「シウォン……これでよかったんだよ」

僕は笑いながらシウォンに言った。

「僕はユノさんに出会えて幸せだし、シウォンだって、ヒョヨンのこと愛してるんだろ?」

「もちろん。今はヒョヨンだけだ。本当に大切に思ってる」

「それならいいじゃないか。いろいろあっても、結局今が一番幸せなんだから」

「……そうだな。確かに今が一番幸せだし、これからもっと幸せになりたい。幸せにしてやりたい」

「なに惚気てんのさ」

「お前もだろ?」

僕達は顔を見合わせて笑った。

「来年度には、正式に俺が会社を継ぐことになりそうなんだ。親父は会長に退くらしい」
「へえ、シウォンはその年であの大企業の社長になるんだ」
「まあな、遅かれ早かれ、いずれはそうなる予定だったから。
それで、ヒョヨンもインストラクターの仕事は辞めて、家に入って貰うことになる。いろいろ付き合いも忙しいからな」
「そうか……」
「そうなったら子作りに励むつもりだよ。もう、ヒョヨンの仕事のこと考えなくていいから。俺は最低でも3人は欲しいからな」

「シウォンとヒョヨンの子供か。可愛いだろうな……」

少し羨ましいと思う。
僕達には望めないことだから……。

「チャンミン、」

「二人の子供だったら絶対可愛いよね。産まれたら僕にも抱かせてよ」

「ああ、もちろん。子供には早くからサーフィンを教えるつもりだから、休暇のたびにここに連れてくるよ。
ユノさんとヒョヨンが教えればプロにだってなれるだろ」
「うん、今から楽しみだね。早く会いたいなぁ」

シウォンとヒョヨンが、子供を連れてやって来る様子を思い浮かべて、思わず笑みが漏れた。


「そろそろ戻ろうか。ビールなくなっちゃった」

僕が言うと、シウォンも頷いて、
僕達は砂浜を踏みしめながらペンションへ戻った。











更新遅くなり申し訳ないです。
次回、多分最終回になると思います。
あと少しお付き合いください。




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Black Pearl

Author:Black Pearl
はじめまして。BlackPearlと申します。東方神起のふたりが大好きで、大好きで、久しぶりに書き始めました。心ときめく日々を与えてくれるふたりに感謝💕この想いを共有してくださる方、よろしくお願いいたします。