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記事一覧

倖せの人 ユノの物語 16

ユノの一日は夜明けと共に始まる。まだ薄暗い空を窓から眺めながら身支度をして、井戸の冷たい水で顔を洗う。手拭いで顔を拭いて、そのまま勝手口から中に入る。「おはようございます」「ああ、ユノ。おはよう」ユノがどんなに早起きしたつもりでも、大抵ヨナの方が先に台所にいて、竈に薪をくべて火をおこしている。ユノは手桶をとり、井戸から水を汲んで運ぶ。台所の大きな水槽がいっぱいになるまで何度も往復した。ヨナの手伝い...

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倖せの人 ユノの物語 15

シュリに連れられて母屋を出ると、すでに店の表には二頭立ての馬車が回してあった。御者席に座るのはジン。「ジン、おまたせ」シュリはそう言うと、ジンの後ろの席に登ろうと手すりを握りしめて高い位置にある足掛けに足を上げた。「あ、」ユノは慌てて駆け寄ると、シュリの手を取って、もう片方の手を背中に添えて身体を持ち上げるのを手伝った。「え…… 」シュリは一瞬だけ驚いたような顔をしたが、ユノに支えられて難なく座席に...

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倖せの人 ユノの物語 14

チョウ一家との顔合わせが終わり、ミジュンはユノを台所へと連れていった。「ヨナ、お疲れさま。ちょっといい?」昼食の準備の最中らしき中年の女がひとり、ミジュンに呼ばれて包丁を置いて振り返った。「女将さんおかえりなさいませ」「ヨナ、この子がユノ。しばらくの間母屋の手伝いをさせるつもりだから頼むわね」「はい、承知しました」「ユノといいます。よろしくお願いします」頭を下げて挨拶するユノに、ヨナは、「あらまあ...

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倖せの人 ユノの物語 13

ユノとミジュンを乗せた馬車は住宅街を抜け、食料品や日用品、衣類などの店が建ち並ぶ商店街の広い通りをゆっくりと進んだ。この辺りまではユノも何度も来たことがある。院長先生やユイに頼まれて買い物の荷物持ちをしたり、10才を越えた頃からは社会勉強としてお金の意味や使い方や買い物の仕方を学ぶために、孤児達は順番に買い物のお供をさせてもらった。店の表に並ぶたくさんの野菜や果実、色鮮やかや衣類や珍しい形の輸入品の...

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倖せの人 ユノの物語 12

ユノを雇うことに決まって、ミジュンの口入れ屋からは相応の支度金がユノに支払われた。普段お金など手にしたことのないユノにとって、それは驚くほどの大金だった。支度と言われても、何をどう用意すればいいのかもわからなくて、いただいたお金をそのまま院長先生に渡した。院長先生はそのお金で、ユノの新しい服や下着、靴など身の回りの物を買い揃えてくれた。ユノ達が孤児院で着ていた服はどれも色褪せた古着ばかりだったから...

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プロフィール

Black Pearl

Author:Black Pearl
はじめまして。BlackPearlと申します。東方神起のふたりが大好きで、大好きで、久しぶりに書き始めました。心ときめく日々を与えてくれるふたりに感謝💕この想いを共有してくださる方、よろしくお願いいたします。